説経節とは
説経節は、寺院での講説、すなわち説教から発して、民衆の興味をひくために説話的な物語を取り入れた語りが、やがて大道芸能化したものです。説経節の代表的なお話「小栗判官」「山椒太夫」などが、神仏の由来を説く物語であるように、社寺縁起的な要素を残していることが、説経節の物語としての特徴と言えます。また音楽的な要素としては、その初期には極めて素朴な楽器、鉦やささら、錫杖などの拍子に合わせて七五調の哀愁に満ちた曲調で歌われた段階から出発し、江戸時代の始め頃までに三味線が用いられ、より流麗哀切なる調べで語られるようになりました。その後、当時流行の義太夫節などの影響を受けながらも、江戸時代中期以降に説経浄瑠璃と呼ばれる独特のスタイルが確立して今日に至っています。